日本有数の国文学者であり、国立国語研究所の初代所長である西尾實先生は和合の帯川出身で、和合小学校帯川分校(現在は廃校になっています)で学ばれました。西尾先生のことは、子どもたちも「どこかで聞いたことのある名前」「和合出身の偉い人」という認識でした。和合小学校に学ぶ子どもたちは是非にも西尾先生のことを知っていてほしいと願い、校長講話で話をしました。
下伊那教育会発刊の『伝記 西尾実 ひと足ひと足』を抜粋して読み聞かせをしました。
實少年は10歳の時、生家のある阿南町和合帯川からわらじを履き、飯田市時又まで十里(約40㎞)の道のりを歩きました。その時足が棒のようになり心がくじけそうになる実に父が諭したことを回想して
「ひと足ひと足 山をも谷をも踏み越えよ」 という言葉を西尾先生は残しています。
(まえがき 下伊那教育会長 岩崎祐章 より)
また校長室に保管されている、西尾實先生が編集された国語の教科書(昭和時代に使われていた教科書。50代の職員はリアルタイムに使っていた??)も紹介しました。
また、校長室にはS29.1に「帯川分教所の生徒諸君におくる」と書かれた西尾先生自筆の色紙が飾られています。この時子どもたちに贈られた言葉は
『ひと足ひと足 山をも坂をも 踏み越えよ』 です。和合や帯川の地域は、坂道がとても多く、どこへ行くにも坂道を歩かなければならない。だから、帯川の子どもたちへは坂という言葉の方が合っている。と、西尾先生が言葉を選んで贈ってくださったそうです。
この色紙は和合小学校の宝であると共に、この言葉をかみしめて、偉大な先輩である西尾先生のように、自分の夢にむかって「ひと足ひと足」進んでいきましょう、と子どもたちに伝えました。校長講話の後、子どもたちや若い職員が「ひと足ひと足 の意味が分かったよ。」と言ってくれたのが嬉しかったです。